診療を受けること自体が保険給付になる
国保法第36条の「療養の給付」は、診察、薬剤・治療材料、処置・手術、在宅での療養上の管理や看護、入院などを対象とします。患者が窓口で自己負担分を払い、残りを保険者が負担することで、医療を受けられる仕組みです。給付は現金の振込みだけを意味しません。
窓口での一部負担割合は年齢や所得等で決まります。保険診療として計算される費用と、選択した個室の差額などの対象外となる費用を区別することが大切です。入院時の食事等には別の給付と標準負担の仕組みがあり、請求書の総額すべてを同じ割合で計算するわけではありません。
療養費は立て替えた額の自動返金ではない
急病などでやむを得ず資格確認を受けずに診療を受けた場合や、必要な治療用装具を作った場合などには、後から療養費を申請する仕組みがあります。国保法第54条は、現物の給付が困難な場合や、資格確認を受けられなかったやむを得ない事情等を定めています。
支給額は保険診療の基準による額から本来の自己負担を引くことなどによって計算されます。支払った金額の一定割合が必ず戻るという制度ではありません。保険者が事実と金額を審査できるよう、領収書、診療内容、医師の証明等を用いて確認します。
| 給付 | 何を支えるか | 主な判断 |
|---|---|---|
| 療養の給付 | 医療機関で受ける診療等 | 資格、保険診療の範囲、一部負担割合 |
| 療養費 | やむを得ない立替払い等 | 支給要件、診療内容、保険の算定基準 |
| 高額療養費 | 保険診療の自己負担が重くなった場合 | 診療月、所得区分、合算の範囲 |
出産・死亡の給付は条例にもつながる
国保法第58条第1項は、出産育児一時金や葬祭費等について、条例・規約に基づいて行う仕組みを定めています。診療の対価を保険者が支払う療養の給付とは異なり、出産や死亡という事実に対して支給する給付です。出産時の医療費助成、戸籍の届出などとも別の制度になります。
津久見市は出産育児一時金と葬祭費を案内し、葬祭費の支給先は葬祭を行った人としています。死亡した人の法定相続人であることと、葬祭費の申請者となることは同じではありません。金額や必要書類は、市の現行の案内と条例を照合します。
給付の重複と休業中の生活費を区別する
仕事によるけがで労災保険の給付を受けられる場合など、同じ医療について他制度の給付があるときは調整します。国保法第56条は、この重複を整理する根拠です。どの保険を使うかを、本人が費用の都合だけで選べるわけではありません。原因となった事故や勤務中の事情も重要になります。
病気で休んだ間の所得を補う傷病手当金は、国保法第58条第2項では条例・規約により行うことのできる給付です。職場の健康保険と同じ給付が、市町村国保でも一律に用意されていると考えないでください。治療費の給付と休業による収入減への支援は、制度の根拠と対象を分けて調べます。
具体例
急病で保険資格を確認できず全額を払ったら?
医療機関での精算が可能か確認し、保険者へ受診時の事情を伝えて療養費の申請対象になるか相談します。保険資格があったこと、確認を受けられなかった理由、診療内容と支払額が判断に必要です。領収書だけで全額返金を約束できる仕組みではありません。
判断の分かれ目
申請する人と受け取る人
給付によって主、被保険者、葬祭を行った人などの立場が異なります。代理で書類を提出する人と、給付を請求し受け取る人も区別します。戸籍上の関係だけで受給権を決めず、給付ごとの法律・条例の規定を確認します。
条例による給付は別自治体の金額を移植しない
法第58条は条例につなぐ規定であり、その条文だけから全国一律の葬祭費の金額が出るわけではありません。法令に根拠があることと、個別自治体で具体的な支給内容が決まっていることを二段階で説明すると、根拠資料の位置づけが明確になります。
根拠法令
国民健康保険法
第36条・第42条
療養の給付の範囲と、患者が負担する一部負担金の割合。
原文を読む国民健康保険法
第54条
が困難な場合等の療養費。支給額は保険の算定基準等に基づく。
原文を読む国民健康保険法
第57条の2
高額療養費の支給と、詳細を政令で定める枠組み。
原文を読む国民健康保険法
第58条第1項・第2項
出産・死亡に関する給付と、傷病手当金等の任意給付を区別する。
原文を読む国民健康保険法
第56条
他法令による医療給付等との調整。
原文を読む関連用語
- 医療などのサービスを給付する仕組み。振込による支給だけが給付ではない。
- 保険診療費のうち、法定の割合等によって患者が窓口で負担する額。