一枚のカードに複数の役割がある
引越しの手続では、住民票の住所を書き換えること、カードの記載内容を更新して引き続き使えるようにすること、電子証明書を使える状態にすることを区別します。カードを持っているだけで、新住所の登録が自動で済むわけではありません。
マイナポータルの転出手続は、カードに搭載された電子証明書を利用します。個人番号の数字を入力して本人であることを証明する仕組みではありません。は電子申請に署名するため、利用者証明用電子証明書はログイン等で利用者を証明するためのものです。
オンラインで済む範囲
全国の市区町村で、マイナポータルから転出届を提出し、転入先等への来庁予定を連絡するサービスが利用できます。これは住基法第24条の2のを使い、市町村間で転出情報を通知する仕組みです。国外への転出は、このオンラインサービスの対象外です。
転入届・転居届は窓口での手続が必要です。デジタル庁は、新たな住民記録が行政事務の基礎になるため、の実在性・本人性を確認する必要があると説明しています。送信した直後と、転出元の処理が完了した状態も区別し、案内された処理状況を確認して来庁します。
14日・30日・90日は起点が違う
国内の市町村間の転入でカードを引き続き使うには、転入届とカードの継続利用をそれぞれ期限内に行います。番号利用法施行令第14条は、転入届を出さないまま転出予定日から30日、または実際の転入日から14日を経過した場合を、カードが失効する場合として定めています。
さらに、転入届をした日から90日以内にカードを転入先市町村へ提出して継続利用の手続をする必要があります。90日あるから転入届も待てる、という意味ではありません。市内転居のカード記載変更に、この市町村間転入の失効条件をそのまま当てはめることもしません。
| 起点 | 期間 | 何の確認か |
|---|---|---|
| 実際に転入した日 | 14日以内 | 転入届の期限・カード失効条件 |
| 届出済みの転出予定日 | 30日以内 | 最初の転入届がなくカードが失効しないか |
| 最初の転入届をした日 | 90日以内 | カードを提出し継続利用する手続 |
住所が変わると電子証明書も確認する
署名用電子証明書には氏名・住所等が含まれるため、住所の変更で失効します。必要なら新住所で再発行を受けます。利用者証明用電子証明書は、住所変更だけでは失効しません。カード本体の有効性と、二種類の電子証明書の有効性は同じではありません。
オンライン転出の届出が受理されると、届けた転出予定日に署名用電子証明書が失効します。引越しの前後に電子署名を使う申請を予定している場合は、この時期も考慮します。スマートフォンの電子証明書を使った場合も、窓口でのカードの更新手続が不要になるわけではありません。
具体例
オンライン申請が完了と表示された。引越し手続は終わり?
表示されているのが転出元の処理完了であれば、転入先での届出は別に必要です。実際に住み始めた後、カードを持って転入届を行い、継続利用や電子証明書も確認します。国保等の関連手続は、マイナポータルや転入先の案内で別に確認します。
判断の分かれ目
住所異動・券面・電子証明書を分けて確認する
『住所変更済み』という説明だけでは、住民登録を指すのか、カードの記載を指すのか、電子証明書の再発行まで含むのかが伝わりません。窓口案内では処理した対象を分けて伝えます。特に署名用の失効を、利用者証明用やカード全体の失効と混同しないことが大切です。
根拠法令
住民基本台帳法
第22条・第23条・第24条の2
転入・転居の届出と、カード利用等による転入の特例の根拠。オンライン転出でも転入届を省く規定ではありません。
原文を読む行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令
第14条第2号・第3号
国内の転出後、転出予定日から30日または転入日から14日を経過しても最初の転入届がない場合、転入届から90日を経過してもカードの提出がない場合等の失効を定めます。
原文を読む電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律
第2条・第15条
電子署名と電子利用者証明の意義を区別し、カード用署名用電子証明書が効力を失う場合を定めます。カード本体の失効を定める番号利用法施行令とは対象が違います。
原文を読む関連用語
- 他市町村へ転入した後も、持っているカードを引き続き使うための手続。
- 電子申請の署名に利用する証明書。住所等の変更により失効します。
- 法の要件により転出証明書の添付を省く仕組み。転入届の省略ではありません。