世帯をつくるのは居住と生計の実態
住民基本台帳法第6条は、個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成すると定めています。一方、『居住と生計をともにする社会生活上の単位』という世帯の説明は、同条にそのまま書かれた定義ではなく、住民基本台帳事務の行政解釈です。一人で暮らし、自分の生計を維持する人も一つの世帯になります。
世帯でまとめることで、一人ひとりの居住記録と、誰と生活を営んでいるかという情報を結び付けられます。したがって、建物が一つだから必ず一世帯、名字が違うから必ず別世帯、という区分にはなりません。住民登録は希望する表示を自由に選ぶ制度ではなく、実態に沿って記録する仕組みです。
住所・戸籍・世帯を分けて考える
世帯は現在の共同生活のまとまりであり、親族関係そのものではありません。親子で同じ住所にいても生計の実態により別世帯となることがあり、別の住所で暮らす親族は、親族という理由だけでになるわけではありません。
| 言葉 | 整理しているもの | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 住所 | どこをとしているか | 同じ住所でも世帯が同じとは限らない |
| 世帯 | 居住・生計をともにする生活の単位 | 親族関係だけで決まらない |
| 世帯主 | 住民登録上の世帯を代表する人 | 家の所有者という意味ではない |
| 戸籍 | を記録する制度 | で戸籍まで分かれるわけではない |
世帯主の役割
住民票には、本人が世帯主である旨、または世帯主の氏名と世帯主との続柄が記録されます。世帯主は、世帯を構成する人のうち、主に生計を維持し、世帯を代表する人として扱われます。戸籍の最初に記載されるとは別の概念です。
住基法第26条は、世帯主が世帯員に代わって住民異動の届出をできることを定めています。ただし、この規定だけで、世帯員のあらゆる契約や申請を無条件に代理できるわけではありません。どの制度の、どの手続をするのかに応じて権限を確認します。
世帯分離・合併・世帯主変更
一つだった世帯を分ける世帯分離、別々だった世帯を一つにする世帯合併、世帯主を変える変更は、住所を移さなくても生じます。住基法第25条による世帯変更届は、転入・転居の場合等を除き、変更があった日から14日以内です。実態が変わった日と届出日を区別します。
世帯を分けると、をとして請求する関係も変わります。国保などの負担や給付がどう変わるかは、それぞれの制度の判定方法によるため、住民登録の世帯を分ければ必ず有利になるとはいえません。世帯認定と、個別制度で生じる効果は分けて確認します。
具体例
実家で暮らす成人の子を別世帯にできる?
同じ家でも、独立した生活と生計の実態があれば別世帯となる場合があります。ただし、就職した、給与口座が別、という一つの事情だけで決まるわけではありません。生活費をどのように負担し、共同生活を営んでいるかを説明します。大阪市の案内も、実際に別生計であることを確認する考え方を示しています。
世帯を分けた後も、親の住民票を取れる?
別世帯になると、親子という理由だけでは住基法第12条の同一世帯員として請求できません。親から依頼を受けたなら、その依頼・を確認します。自分の権利行使などのために必要なら、第12条の3の第三者申出として利用目的と必要性を審査する別の仕組みがあります。
判断の分かれ目
夫婦の別財布と、世帯の分離
大阪市の令和3年度答申第9号では、夫婦が別の健康保険に加入し、配偶者控除を使わず、財産を別にしている事情だけでは、生活の生計が別だとは認められませんでした。これは当該事案の判断です。『夫婦は例外なく分離不可』という条文があるかのように説明せず、住居や生活費等の実態と判断理由を対応させることが大切です。
根拠法令
住民基本台帳法
第6条第1項・第7条第4号
個人の住民票を世帯ごとに編成し、世帯主・続柄を記載する根拠です。『世帯』の運用上の定義まで第6条に明記されているわけではありません。
原文を読む住民基本台帳法
第25条・第26条
世帯・世帯主が変わった場合の届出と、世帯主が世帯員に代わって行う届出を定めます。
原文を読む住民基本台帳法
第12条・第12条の3
本人・同一世帯員の証明書請求と、正当な理由のある第三者等の申出を区別します。
原文を読む住民基本台帳法施行令
第11条
届出の内容が事実かを審査し、記録に反映する根拠。世帯変更でも実態の確認が必要になる理由です。
原文を読む関連用語
- 一つの世帯から別の世帯を設ける変更。戸籍の分籍とは別です。
- 戸籍の最初に記載される人。住民票の世帯主と一致するとは限りません。
- 住民登録上、同じ世帯に属する人。『同居している親族』と同じ範囲とは限りません。