記録と証明書は別のもの
住民票は、市町村が住民基本台帳を作るための一人ひとりの記録です。窓口等で交付される住民票の写しは、その記録に基づく証明書です。『写し』という名称でも、手元の証明書を自分でコピーしたものと同じ意味ではありません。
は、住民票に記録された事項について証明する書類です。提出先が何を確認したいかによって、住所等の限られた事項の証明で足りる場合があります。証明する対象と必要な記載を先に確かめると、不要な情報の提出や取り直しを防げます。
台帳の項目がすべて印字されるわけではない
法第7条には氏名、氏名の振り仮名、生年月日、男女の別、住所、主・続柄、戸籍の表示、個人番号、住民票コード、各制度の資格等が列挙されています。氏名の振り仮名は戸籍法上の振り仮名を指し、外国人住民の記載事項には第30条の45の特則があります。
本人等の請求でも、特別の請求がなければ、法第12条第5項により一部事項を省略できます。証明書の情報が多ければ多いほどよいわけではありません。特に個人番号や住民票コードを必要とするかは、や続柄が必要かとは別に確認します。
| 確認する項目 | 主に確かめること |
|---|---|
| 本人分・世帯の必要な範囲 | 誰についての証明が必要か |
| 世帯主・続柄 | 世帯内での関係の表示が必要か |
| 本籍・ | 戸籍の表示が必要か |
| 個人番号・住民票コード | 提出先の手続でその番号が必要か |
本人・同一世帯員と第三者の違い
本人とは、法第12条に基づいて住民票の写し等を請求できます。代理人が手続する場合は、窓口に来た人の本人確認に加え、本人の依頼等により手続する権限を確認します。同じ住所の親族でも別世帯なら、同一世帯員としての請求とは異なります。
第三者は、権利行使・義務履行、官公署への提出、その他の正当な理由について申出をし、市町村が相当と認めた場合に交付を受ける仕組みです。単に知りたい、連絡を取りたいという希望が当然に請求権になるわけではありません。弁護士等による職務上の申出にも法定の要件があります。
除票は過去の記録を証明する
転出や死亡などで住民票が消除された後、その記録はとして扱われます。現に登録されている住民票の写しと、以前の住所や死亡時の住所を確認する除票の写しは区別します。
除票の本人請求は法第15条の4によります。通常の住民票と違い、『以前同じ世帯だった』ということだけで本人と同じ立場の請求権が生じるわけではありません。死亡した親の除票が相続手続に必要な場合は、必要な理由と請求者との関係を示すことが重要になります。
具体例
就職先から住民票を求められた
まず、住所・生年月日など何の確認に使うのか、本人分だけでよいか、本籍や続柄、個人番号が必要かを提出先に確認します。住民票記載事項証明書で足りる場合もあります。提出先の『住民票』という呼び方だけで、全事項の記載が必要と判断しないことが大切です。
亡くなった父の最後の住所を証明したい
必要なのは通常の現住民票ではなく、除票の写しである可能性があります。相続など、どの手続にどの住所の証明が必要かを整理します。父と同居していたことだけに頼らず、請求者の権利・義務と除票が必要な理由を説明できるようにします。
判断の分かれ目
請求の資格と、記載範囲の審査
第三者申出は、交付できるかと、どの事項まで表示できるかを分けます。法第12条の3は基礎証明事項を基本とし、追加事項には必要性の申出と相当性の判断を求めています。その追加対象から個人番号と住民票コードは除かれます。本人の委任によると第三者自身の申出を混同しないことが重要です。
本人確認と代理権の確認
法第12条第3項の本人確認は『今、請求の手続をしている人は誰か』の確認です。第4項は『その人が依頼を受けているか、法令上の権限があるか』の確認です。身分証の提示だけでまで確認できたことにはならず、委任状があっても来庁者の本人確認は別に必要です。
根拠法令
住民基本台帳法
第6条・第7条・第30条の45
住民票の編成と記載事項、外国人住民に関する特則を定めます。記録する事項と証明書に表示する事項は区別します。
原文を読む住民基本台帳法
第12条第1項・第3項〜第6項
本人・同一世帯員の請求、本人確認、代理権等の確認、記載の省略、不当な目的が明らかな請求の拒否を定めます。
原文を読む住民基本台帳法
第12条の3第1項・第2項・第7項・第8項
第三者等の申出の要件と、基礎証明事項以外の事項を必要とする場合の取扱いを定めます。
原文を読む住民基本台帳法
第15条の2・第15条の4第1項・第3項
除票の保存と、除票に記載された本人の請求、正当な理由等を持つ第三者の申出を定めます。同一世帯員というだけの請求制度ではありません。
原文を読む関連用語
- 住民票に記載した事項を証明する書類。住民票の写しと並んで法第12条に規定されています。
- 転出・死亡等により消除された住民票の記録。請求者の扱いにも特則があります。
- 本人に代わって手続する権限。窓口に来た人自身の本人確認とは別に確認します。