届出によって婚姻の効力が生じる
日本の方式による婚姻は、民法第739条に基づき戸籍法に従って届け出ることで効力を生じます。挙式や同居という生活上の出来事と、法律上の婚姻の成立は同じではありません。出生や死亡のように既に起きた事実を報告する届出とは、この点が異なります。
婚姻届の書面には当事者双方と成年の2人以上が署名します。婚姻適齢は18歳です。証人の署名があっても、当事者の婚姻意思や重婚の禁止などの法律上の要件に代わるわけではありません。窓口では書面の形式だけでなく、婚姻が受理できる要件も確認します。
氏の選択と戸籍の編製
日本人同士の婚姻では、婚姻の際に夫又は妻のどちらの氏を称するかを決めます。夫の氏に限られるという規定ではありません。婚姻届には夫婦が称する氏を記載します。戸籍のはその戸籍の最初に記載される人で、住所の記録における主とは別の情報です。
婚姻の届出により原則として夫婦の新戸籍をします。ただし、選ぶ氏の側の人が既に戸籍の筆頭者であれば、その戸籍に配偶者が入る形になります。「結婚すると必ず新しい戸籍を作る」「必ず夫の親の戸籍へ入る」とは言えません。氏、本籍、編製される戸籍を分けて確認します。
本籍・住所・世帯は別の情報
本籍は戸籍を置く場所で、住所はに関する情報です。婚姻後の本籍を新居と同じ場所にするかどうかと、実際にそこへ住み始めたかは別に考えます。婚姻届を書いたことだけで、転入・転居の届出まで済むわけではありません。
氏の変更に伴うカードや各種制度の手続も、婚姻届とは別に確認します。同時に引っ越す人は、住所異動の期限を婚姻日ではなく実際に転入・転居した日から考えます。挙式日、婚姻日、転居日を同じ日として説明しないことが、複数の手続の整理につながります。
| 情報・手続 | 婚姻との関係 |
|---|---|
| 法律上の婚姻 | 日本の方式では要件を満たす届出によって効力が生じる |
| 氏 | 日本人同士は夫又は妻の氏を選ぶ |
| 本籍 | 戸籍を置く場所。住所とは別 |
| 住所・世帯 | 生活の実態に基づく届出を別に確認する |
外国籍が関係する婚姻は方式を確認する
外国籍の人との婚姻や外国での婚姻は、日本人同士の国内婚姻と同じ説明をそのまま当てはめません。これから日本の方式で婚姻を成立させるのか、外国の方式で既に成立した婚姻を日本へ報告するのかで、必要な書類や記載の考え方が変わります。
婚姻要件を示す外国の証明書や日本語訳などが必要な場合があります。また、外国人との婚姻で日本人の氏が当然に外国人配偶者の氏へ変わるわけではありません。国籍、成立させる国・方式、既に婚姻が成立しているかを先に伝えると、届出と氏変更を分けて確認できます。
具体例
結婚式の日にさかのぼって婚姻日を決められますか。
日本の方式で新たに婚姻する場合、式や同居の開始日を任意に婚姻日としてさかのぼらせることはできません。法律上は要件を満たす届出により効力が生じます。外国の方式で既に有効に成立した婚姻を報告する場合は別なので、どの種類の届出かを確認します。
判断の分かれ目
添付する戸籍を旧案内だけで集めない
2024年3月から、提出先の市区町村が本籍地の戸籍を確認できる仕組みにより、戸籍届出時の戸籍証明書の添付は原則不要になりました。ただし、外国の証明書などまで一律に不要になる意味ではありません。提出する届出の種類と、追加で確認が必要な事情を窓口へ伝えます。
根拠法令
民法
第731条・第732条・第739条
婚姻適齢、重婚の禁止、届出による効力と書面の場合の署名要件を定めます。
原文を読む民法
第750条
夫婦が婚姻時に夫又は妻の氏を称することを定めます。本文の氏の選択は日本人同士の婚姻を想定しています。
原文を読む戸籍法
第16条・第74条
婚姻に伴う新戸籍の編製と例外、届書に記載する夫婦の氏などを定めます。
原文を読む戸籍法
第25条・第27条の2
届出地、来庁者の本人確認、本人の来庁を確認できない場合の受理通知等を定めます。
原文を読む関連用語
- 届出によって身分上の効力が生じる性質の届出。日本の方式の婚姻が例です。
- 戸籍を置く場所。生活上の住所と一致させる制度ではありません。
- 通常の書面による婚姻届で、当事者双方とともに署名する成年の人。