医療の費用を社会で分担する
国民健康保険は、加入者の病気・けが・出産・死亡に対してを行う制度です。医療機関で支払う額を患者だけで負担するのではなく、保険料・保険税と公費などで費用を分担します。健康なときに納めた額を本人の口座に積み立て、病気のときに取り戻す仕組みではありません。
法律が対象者と給付の範囲を定めているため、民間保険のように病気の見込みや利用頻度で加入を選ぶ制度でもありません。対象になれば資格が生じ、受診しなかった年にも保険税の負担があります。給付を受ける権利と費用を負担する義務を組み合わせ、必要な医療につなげています。
誰が加入するのか
都道府県内に住所がある人を基本とし、職場の健康保険の本人・被扶養者、後期高齢者医療の被保険者、生活保護を受けているの人などを除く構成です。「自営業者だけの保険」でも「無職になった人だけの保険」でもありません。就業中でも職場の保険の対象でなければ国保の対象となることがあります。
国保では加入者一人ひとりが被保険者です。職場の健康保険のような、被保険者に扶養される家族としての被扶養者の区分はありません。親が国保に入っていても子の加入記録は別に必要で、子にも資格が生じます。住民票の世帯と保険の加入先は同じ意味ではありません。
| 区分 | 制度上の位置づけ |
|---|---|
| 被保険者 | 保険給付の対象になる加入者 |
| 保険者 | 法律に基づいて保険を運営する主体 |
| 世帯主 | 世帯員の届出や納付の窓口となる人 |
県と市が役割を分担する
2018年度から、都道府県が市町村とともに国保を運営し、安定した財政運営の中心を担う体制になりました。市町村ごとの小さな単位だけで医療費の変動を受け止めるのではなく、都道府県の枠組みで財政を支えます。これは国保そのものが県の一つの窓口へ移ったという意味ではありません。
市町村は資格の取得・喪失、保険料や保険税の、保健事業などを担います。県の運営方針と、市の・手続案内は役割が異なります。津久見市での届出は市の案内を使い、制度の全国共通部分は国保法を確認する、という読み分けが必要です。
資格・負担・給付は別の判断
資格は「いつ、どの保険に入る人か」、負担は「誰が、どの期間の保険税を納めるか」、給付は「その診療について何が支払われるか」です。が届いた日や納税通知書の発送日が、そのまま資格取得日になるわけではありません。
また、同じ国保という名称でも、都道府県と市町村が行う国保と、職業などを基盤にした国民健康保険組合があります。本記事は主に前者を扱います。窓口を探すときは、資格情報に表示される加入先を確かめると、別の保険者への問い合わせを防げます。
具体例
国保に入った後、一度も病院へ行かなければ税金は戻る?
受診の回数で保険税を精算する制度ではないため、未受診を理由とする返金はありません。資格のある期間について保険税を負担し、誰かが必要な医療を受ける費用を全体で支えます。加入期間の訂正や所得の更正で税額が変わる場合とは別の話です。
判断の分かれ目
届出を受ける際の確認順序
まず住所と他保険の適用関係を確認し、資格の開始・終了日を確定します。その後に、世帯主による届出、受診時の確認方法、保険税の計算をつなげると説明が混線しません。書類の名称だけで判断せず、証明している事実と日付を読むことが大切です。
根拠法令
国民健康保険法
第1条・第2条
制度の目的と、疾病・負傷・出産・死亡に対する保険給付の枠組み。
原文を読む国民健康保険法
第3条・第4条
都道府県と市町村の共同運営、県の財政運営と市町村の資格管理・徴収などの責務。
原文を読む国民健康保険法
第5条・第6条
住所を基本とする被保険者の範囲と他保険加入者等の。
原文を読む国民健康保険法
第76条第1項
世帯主から保険料を徴収する原則と、地方税法に基づく国保税を課す場合の例外。
原文を読む関連用語
- 住所の要件を満たしていても、他保険への加入等により国保の対象としないこと。
- 法律や条例に基づいて行う医療の提供や費用の支給。