本籍と筆頭者で戸籍を特定する
戸籍法第9条は、戸籍を「筆頭に記載した者の氏名」と「本籍」で表示すると定めています。同姓同名の人を氏名だけで探すのではなく、どの戸籍に属する記録を請求しているかを明らかにするための組合せです。
筆頭者は戸籍の最初に記載された人で、家族に対する権限の強さを示す役職ではありません。その人が死亡などで戸籍から除かれた後も、当該戸籍の表示に使う筆頭者は変わりません。申請書には、現在生きている家族の代表者を代わりに書くものではありません。
住所・世帯主との違い
本籍は戸籍の所在を示す情報で、である住所と一致する必要はありません。出生地や実家の所在地と必ず一致するものでもありません。住所の異動を届け出ても、戸籍の本籍が自動的に移る仕組みではありません。
| 項目 | 対象の記録 | 意味 |
|---|---|---|
| 本籍 | 戸籍 | 戸籍の所在を表す場所 |
| 筆頭者 | 戸籍 | 戸籍の表示に使う、最初に記載された人 |
| 住所 | 住民票 | 生活の本拠として記録する場所 |
| 世帯主 | 住民票 | 住民票上の世帯の主たる人。ほかの構成員はその人との続柄を記録 |
同じ場所でも、住所と本籍の表示は違うことがある
住居表示がある地域では、住所の「○番○号」と本籍の表示が一致しないことがあります。本籍は地番号や街区符号で特定されるため、住所の号やマンションの部屋番号をそのまま書き写すとは限りません。
広島市の公式FAQでも、本籍は地番号又は街区符号で特定すると説明されています。これは表示方法の説明であり、広島市の受付窓口を案内しているものではありません。自分の本籍は戸籍証明書や本籍記載の住民票などにある表記で確かめ、新しく定めるときは届出先で表示の可否を確認します。
転籍は、戸籍の所在を変える届出
戸籍法第108条は、新本籍を届書に記載し、筆頭者とその配偶者がを届け出ることを定めています。転籍は戸籍を単位とする変更であり、同じ戸籍にいる子の一人が住所だけを変える手続きとは異なります。
筆頭者・配偶者の一方が亡くなっている場合は、生存している方がになります。双方が亡くなっている場合は、その戸籍の転籍はできません。
転籍しても、親子関係や婚姻関係をなくすことにはなりません。別の戸籍がされると、現在の証明書へ移されない過去の記録が残ることがあります。現在の本籍が分かることと、必要な過去の記録をすべて取れることは別なので、相続などでは前の本籍をたどる場合があります。
具体例
引っ越しをした。戸籍請求の本籍には新住所を書く?
転入・転居の届出だけなら、本籍は自動では変わりません。申請書の「請求者の住所」には現在の住所、「必要な戸籍の本籍」にはその戸籍の本籍を書き分けます。本籍が分からないときは、日本人の住民票で本籍・筆頭者の記載を希望して確認する方法があります。津久見市は、電話や窓口の問い合わせだけでは本籍・筆頭者を回答しないと案内しています。
判断の分かれ目
転籍と分籍を混同しない
転籍は本籍を移すこと、分籍は一定の要件の下で自分の新しい戸籍を作ることです。戸籍法第21条では成年に達した人の分籍を認めますが、筆頭者とその配偶者は除かれます。戸籍を分けることと、法律上の親子関係が終了することは同じではありません。
死亡後も使う「表示」と、在籍状態を分けて読む
筆頭者の氏名は戸籍を特定する情報なので、その表示だけから本人が生存しているか、現在その戸籍に在籍しているかは判断できません。戸籍全体の表示と、各人の身分事項・除籍の記録を分けて読みます。この区別は、古い証明書を手がかりに次の戸籍を請求するときにも役立ちます。
根拠法令
戸籍法
第9条
本籍と筆頭者氏名で戸籍を表示し、筆頭者が除籍された後も同じ扱いを続けます。
条文の抜粋
その者が戸籍から除かれた後も、同様である。
戸籍法
第108条第1項・第109条
転籍の届出事項・届出人と、転籍地でも届出できることを定めています。
原文を読む戸籍法
第21条
成年者の分籍と、筆頭者・配偶者の除外、新戸籍の編製を定めています。
原文を読む住民基本台帳法
第7条第4号・第7号
住民票の記載事項として世帯主・続柄と住所を定めています。
原文を読む関連用語
- 戸籍の所在を表す情報。住所や出生地とは別。
- 戸籍の最初に記載された人。除籍後もその戸籍を表示する氏名は変わらない。
- 戸籍の本籍を移すこと。