雨の強さから災害の危険度へ
同じ雨量でも、雨水が地中に残る山地、地表にたまりやすい低地、上流から水が集まる川では危険の現れ方が違います。キキクルは、解析・予測した雨をもとに指数を計算し、災害実績等に基づく基準と比べて危険度を示します。雨雲の動きをそのまま色分けした地図ではありません。
基本となる表示は、土砂、浸水、洪水です。2026年には浸水と洪水の危険度を重ね、格子ごとに高い方を示す「大雨キキクル」が加わりました。まず浸水全体の危険を把握し、必要に応じて内訳を確かめるための表示です。
| 種類 | 評価する主な危険 | 読み取る範囲 |
|---|---|---|
| 土砂 | 雨が地中にたまること等による土砂災害 | 斜面・渓流周辺の危険と重ねる |
| 浸水 | 短時間強雨で地表に水がたまる危険 | 低地、地下室、アンダーパス等 |
| 洪水 | 上流の雨が流れ集まることによる危険 | 中小河川の危険度。大河川の情報も合わせて表示 |
| 大雨 | 浸水・洪水の高い方の危険度 | 統合表示であり、土砂災害は別に確認 |
色は被害の写真ではなく危険の評価
危険度は、無色、黄、赤、紫、黒の5段階です。赤はレベル3相当、紫はレベル4相当、黒はレベル5相当の危険を表します。黒になるまで待つのではなく、危険な場所では高齢者等は赤、一般の人は遅くとも紫で速やかな避難判断につなげます。
色には将来の予測も使われます。紫の場所で今まさに災害が起きていると断定する表示ではありませんが、何も起きていないから過大な情報だと捨てることもできません。避難に使える時間を確保するため、発生前の危険を示す仕組みです。
1kmの地図でも敷地ごとの安全は分からない
土砂・浸水等の危険度は概ね1kmの格子で示され、10分ごとに更新されます。河川の危険度は川沿いの情報と合わせて読みます。この細かさでも、個々の擁壁、道路のくぼみ、建物の構造まで判定することはできません。
土砂は地中の雨、浸水は地表の水、洪水は流域を流れる水をそれぞれ扱うため、予測時間や計算方法も同じではありません。現在の色だけでなく、どの災害の表示か、いつ更新されたか、周辺や上流がどう変わったかを確かめる意味があります。
ハザードマップと合わせる理由
危険度分布は雨による危険の高まり、ハザードマップは災害が及び得る場所や浸水深などの想定を示します。土砂キキクルの格子が紫でも、その格子全体が同じ地形ではありません。土砂災害警戒区域等との重なりを確認すると、自分に関係する危険を読み取りやすくなります。
無色でも、現地に危険がないと保証するものではありません。浸水キキクルの指数は降雪・融雪の過程を扱わず、土砂災害にも対象とする現象の限界があります。現地の異変、市の避難情報、河川水位などを含めて判断します。
具体例
雨が弱まったのに洪水の色が悪化した
川は上流に降った雨の影響を時間差で受けます。自宅付近の雨だけを見て帰宅や外出を判断せず、河川の水位や流域全体の情報を確認します。流域雨量指数は、上流の雨が下流へ集まる過程を評価するための指標です。
判断の分かれ目
情報の名称と法的な指示を混同しない
キキクルの紫は市町村長による避難指示そのものではありません。気象業務法に基づく予報・警報等を支える情報と、災害対策基本法に基づく避難指示を分けて説明します。その違いは、住民が市の発令を待つべき理由にはなりません。
旧説明の予測時間や算定方法を固定しない
2026年の改善で表示や判定の扱いが変わっています。たとえば土砂キキクルの解説は、周辺3km四方の最大危険度を用いる従来の扱いを廃止したと説明しています。過去資料の説明を現在の格子にそのまま当てはめず、気象庁の種類別解説に戻って確認します。
根拠法令
気象業務法
第11条・第13条
観測成果等の公表と予報・警報の制度的な根拠です。「キキクル」という名称や色の閾値を直接列挙する条文ではなく、具体的な算定は気象庁の運用・技術資料によります。
原文を読む災害対策基本法
第60条第1項
市町村長の避難指示の根拠です。危険度分布の色と行政による避難指示を区別する際に確認する条文です。
原文を読む関連用語
- 浸水と洪水の危険度を重ね、格子ごとに高い方を表示する情報。
- 危険度に応じて住民がとるべき避難行動を示す枠組み。